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独 IWA OutdoorClassics 2018 へいってまいりました。

2018年3月9日~12日までの4日間に渡り、ドイツ、ニュールンベルグにて IWA OutdoorClassics 2018 が開催されました。今回は45回目の開催となり、開催当局の報告によると、130か国から約4.7万人の来場者を記録したようです。今年のIWAでは、グローバルマーケットで戦う光学機器トップメーカーによる挑戦的な取り組みを垣間見る機会を得ました。

こちらは、長野県に拠点を構えるディオン光学技研から発表された March GENESIS Extreme Long Range 6-60x56mm ライフルスコープです(レチクルは第1焦点面)。上代価格は6千米ドル弱とのこと。こちらのライフルスコープは、‟Extreme Long Range(もはや長距離の向こう側的な感じでしょうか)”というだけあって、エレベーションは400 MOAまで調節可能とのこと(1回転で50 MOA)。ウィンデージは150 MOA 、1回転50 MOAです。1クリック当たりの移動量は 1/4 MOAです。こちらのライフルスコープでは、最大で‟3マイル(約4.8キロメートル)”先のターゲットを捉えることが可能です。10ヤード(約9.1メートル)から焦点が合うそうなので、日本国内での使用も十分可能です。ご興味のある方はディオン光学技研さんへ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

2018年2月に訪問したドルトムントでの展示会ブログにてお話をさせていただいた独ブレーザー社のライフルスコープは、やはり IWA OutdoorClassics 2018 でも話題の中心です。今回はドットサイトの展示も確認ができました。

 

これで、猟銃、ライフル銃、関連アクセサリー類、そして光学機器である双眼鏡とライフルスコープの全てがブレーザーブランドのラインナップとして揃いました。

 

さてブレーザー社の次の狙いは何か? 或いは競合他社のブローニング社(親会社はFNハーシュテル。ベルギーのワロン地域にて軍用火器を製造。)はこの先どう対応していくのか? 欧州メジャープレーヤーの一角をなすイタリアのベレッタグループの取り組みは?などなど、自分なりの解釈と予測を交え、あれやこれやと空想を巡らす、各ブースの営業担当者からも直接話を聞く、そして噂話、様々な角度からの最新情報が得られる濃厚なイベントがIWA Outdoor Classicsです。

 

毎年開催されるIWAは、欧州狩猟マーケットの縮図として捉えることができます。私の場合、光学機器カテゴリに限定されますが、ある程度の期間ビジネスで言うところの定点観測をしていると、小さな変化も大きな変化も4日間で見つけることができ、市場を理解する上で大変貴重な機会となっています。


日本の光学機器メーカー、ビクセンです。

ブースにて面白い双眼鏡を見つけました。こちらはビクセンの新製品、ATERA H12x30 防振双眼鏡です。いわゆる‟双眼鏡”というと、その多くは黒色が殆どですが(洗濯機でいうところの白色といった感じでしょうか)、ハンティング展示会向けの双眼鏡としては多少ポップな印象を受けるカラーリングです(今回スワロフスキーからは蛍光オレンジ色が提案されましたが…)。しかしながら、来場者の反応は良いようで、この倍率と明るさを併せ持った‟防振双眼鏡”の狩猟ニーズは可能性があるといえます。これにレンジファインダーが組み込まれていたら、狩猟市場では間違いなくスーパーヒット商品です。

右の写真をご覧ください。どこのライフルスコープかと思いきや、ビクセンのライフルスコープです。

 

今回の展示会では、防振双眼鏡の他に、新型ライフルスコープの展示は確認が出来ませんでしたが、代わりに、セラコート加工が施されたライフルスコープが確認できました。こちらはレギュラーカタログには現状掲載されていないようですが、ドイツでは実際に販売されているようです。

 

ブースはライフルスコープを手に取って見る来場者で賑わっているようでした。

ドクターブランドのライフルスコープ、オープンサイトで有名だった独DOCTERですが、数年前に光学機器部門が売りに出され、ロゴマークのフクロウはそのままですが、現在はNOBLEXという新ブランド名で製品展開がされているようです(2018年IWAにて確認)。

 

しかしながら、NOBLEX社のウェブサイトでは、現在も(2018年3月時点)DOCTERブランドで商品紹介がされており、消費者側としては少し混乱します。

日本を代表する光学機器メーカー、ニコンです。

 

今回、特に際立った新型ライフルスコープの市場投入は確認できませんでしたが、ニコンブースでは、新型のレンジファインダーが発表されていました。

 

MONARCH 3000 STABILIZED Laser Rangefinder 6x21です。米国市場上代は420米ドルとなっています。こちらのレンジファインダーには防振装置が組み込まれており、手振れ抑え、3000ヤード(約2,743メートル)までの距離測定が可能とのことです。対物レンズ21mm、倍率は6倍です。仕様もさることながら、価格競争力もあり、大人気みたいです。

今回、オーストリアのスワロフスキーから新型ライフルスコープ、Z8i 0,75-6x20 が発表されました。Field of Viewは、100メートル先で56m-7mですので、相当広い視野が得られ、ハンターにとっては大きなアドバンテージです。このスコープには ”VIEWPLUS 0,75x Magnification” という機能が搭載されており、低倍率1倍の視野を更に30%広げるといったものです。

これにより、今まで低倍率1倍での獲物捕捉が視野限界でしたが、更に30%広い視野が得られ、ハンターはターゲットの移動方向を瞬時に把握することがきでるようになります。

 

近年、ライフルスコープで言うところの低倍率といえば、‟1倍から” というのが業界標準となっています。これは、決して倍率が全く掛かっていない(ゼロ)という訳ではなく、ゼロに近いということで、この点は同じ‟1倍”といってもスコープメーカーによってこの幅は全く異なります。

 

今回、スワロフスキーは”0,75倍”というよりゼロに近い低倍率のスコープを市場投入しました。対物20mm~30mmのドリブンハント(日本の巻き狩り猟でしょうか)用のライフルスコープとしては、一般的に6倍から始まり、最近では8倍、そして10倍がこのカテゴリの現状最上位とされています。各メーカーの競争ファクターの一つは高倍率でありつつもより広いField of View(視野角)の確保という矛盾する課題に取り組む必要があり、ここが光学機器メーカーの腕の見せ所でもあります。業界的にこの発想は新しく、この先他社もこの流れに乗ってくるのではないでしょうか。

 


番外編です。

 

会場でウルフドッグ(犬と狼の交雑種)に遭遇しました。正直、ちょっと複雑な気持ちになりましたが、飼い主の許可を得て触ってみました。サイズは一般的な犬よりも遥かに大きく、前脚、後脚もがっしりとしていた印象です。写真に写りこんでいる方も大きな体格の方でしたので、実際の感覚は、左の写真で見るよりも相当大きなサイズです。

最後になってしましましたが、シュタイナーから新型ライフルスコープ Steiner M8Xi IFS 1-8x24 が発表されました。

 

ベレッタグループに属するBurrisでは、レンジファインダー内蔵タイプのスコープが既に発売されていますが、同じく、ベレッタグループ傘下のSteinerブランドからこの度発表された M8Xi IFS 1-8x24 は、スワロフスキーや、他メーカーなどで採用されている先進的な特徴を全部入れてしまった感が伺えるスコープです。しかしながら、手に取った際は電池切れだったようで、肝心のデジタル部分についてのハンズオンは叶いませんでした。市場上代は米6千ドル。日本円にして70万円程度です。簡単に手が出る価格帯ではなさそうです。

B2Bイベントとしての質を高めるため、今年のIWAから一般来場者の入場規制が強化されているようです。来年の IWA OutdoorClassics 2019 (*Blog更新2019年3月15日:IWA2019訪問は3月8日~11日の期間で開催される予定です。チャンスがあればぜひ!

 

 

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