日本語訳テストレポート

ビクセン 5-20x50 ミルドット

ビクセン 5-20x50 ミルドット

 

【For Long Range】

技術的に可能な全ての機能を搭載したライフルスコープを求めるならば、少し大きめの財布が入るポケットを用意する必要があるかもしれません。しかしながら、最高の機能が搭載されたスコープではなく、個人の使用にフィットした財布に優しいライフルスコープを求めるのであれば、話はかわってきます。ビクセンのロングレンジターゲット向けライフルスコープはこうした消費カテゴリーに分類される製品です。

 

ライターNorbert Klups

 

 近年開発されている精密射撃ライフル、ハイパワー弾薬は精密射撃シューターたちの射撃距離を益々押し上げています。スポーツ射撃の競技者たちは近代装備を用い、より長い射撃距離で競争をし、驚くほどの成果を達成したいという欲求をかかえています。この競技の大規模化へ向け唯一の障害となっている点は、この長距離射撃競技を行うための十分な射撃場が不足していることです。

 

しかしながら、実際に銃とカートリッジの組み合わせによる好成績を実現するためには、対応する射撃用光学機器が必要になります。ハンティング市場のライフルスコープは、こうしたニーズを拾い上げることに長く失敗を重ねてきました。狩猟向けライフルスコープの必要要件は、スポーツ射撃向けのスコープとは大きくことなることから、この点については驚きません。

 

故に、大手のスコープメーカーたちは高倍率、クイックレチクルアジャストメント、パララックス補正に加え、特別なレチクルを装備したスペシャルモデルをこうした需要に応えるために開発をしてきました。シュミットアンドベンダー、ナイトフォース、スワロフスキー、ルーポルド、或いはツァイス等の特別なモデルは、警察、軍関係、或いはスポーツ射撃には良く受け入れられているスコープですが、高価すぎるが故にスポーツ射撃競技者の多くを退けてしまいがちです。

 

しかしながら、安価なスコープでは品質と機能性を満たすことは出来ず、こうした理由から、経済的なシューターは彼らの懐事情に合った他の代替ライフルスコープをいつも探しているわけです。そして今回、クイックアジャストメント、ミルドットレチクル、パララックス補正といった機能を搭載したスコープがこの低価格帯に登場します。

 

ビクセンはこの市場ギャップをVixen 5-20x50 ロングレンジタクティカル モデルで満たそうとしています。このタクティカルスコープは価格969ユーロで、ハイターゲットターレットに加え、ミルドットレチクル、そして本体側面に配されたパララックス補正機構、レチクル照明さえも備わっています。DWJはテスト用として今回 Vixen 5-20x50を入手しました。

 

【Vixen 5-20x50 Long Range Tactical】

 5x – 20xという倍率域は、長距離向けとして十分な倍率でありつつ、最低倍率においても近距離射撃時に良い見渡しが得られるものです。5倍時におけるVixen 5-20x50 スコープの100m先のFOV6.4mです。対物径50㎜は、夕暮れ条件でも使用が可能なことからハンターにとっても興味深いスコープです。10倍時では、瞳径5㎜が確保されており、8倍時でも6.25㎜の瞳径です。

 

 ハンティングには本当によい倍率でありつつ、とても明るいスコープでもあります。接眼部の前にある倍率ズームは柔らかく、半回転で全ての倍率調整域をカバーします。これが意味することは、最低倍率の5倍から最大倍率の20倍までの調整が半回転で行えるということです。これは大変ユーザーフレンドリーな解決法です。低倍率域の強力なカムがこの回転を機能させています。

 

接眼部端にあるクイックアジャストメントとしての視度調整には、ゴム製のパッドが付いています。しかしながら、視度調整は+/- 1補正のみ可能です。これは小さなことかもしれませんが、特にハンターにとっては明らかな弱点として捉えられます。夜間ハンティングの際、マイナス領域により多くの補正幅があることは利点であるためです。アイレリーフは90㎜でした。

 

 【Quick Adjustment Tower】

 タクティカルスコープには一般的ですが、Vixen 5-20x50にはクイックアジャストメントターレットが付いています。背の高いターレットには目盛りが刻まれ、ハンターにとってはありがたい保護キャップが付いています。スポーツスコープにはよくあることですが、ターレットがむき出しになっている場合、藪などのハンティング時において、レチクル調整が意図せず動いてしまうリスクがあります。クイックアジャストメントの際に保護キャップを外す必要はありますが、しっかりと設定が保護されていることに気付くはずです。

 

もし気に入らないのであれば、単に保護キャップを外しておくのもひとつです。レチクルのクリックストップはしっかりと動作し、100m先におけるPOI移動量は1/8 MOA(3.6mm)です。この移動量により、精度の高い調整が可能になります。このようなレチクル調整は一般的なものではありません。ビクセン 5-20x50のレチクル調整は、例えば弾薬を変える際のなど、射撃後に“ゼロ位置”を再セットすることができます。ターレットのゼロ位置を再設定するには、中央のネジを緩め、ターレットを引き上げ、スタート地点へターレットを回すだけです。

 

 【Parallax Compensation on the side of the center tube】

 パララックス補正機構はチューブ中央側面についています。今日、パララックス補正機能は高倍率ライフルスコープにとって必須機能です。ビクセンは一般的なトレンドに倣い、パララックス補正機構をセカンドターレットとしてチューブ中央左側に配しています。この位置にあることで、対物レンズ側にある調整リング方式よりも快適に操作が可能です。プローン姿勢からでは、前方についたリングでは操作が難しくなります。パララックスは40mから無限遠までの調整が可能です。

 

パララックスとは、高倍率かつロングレンジだけではなく、近距離において射手がスコープの真中心から視線を外した際などに、POIに明らかなズレが発生する現象を言います。パララックス補正機能が付いている場合、シューターは射撃距離に従ってスコープをパララックスフリーに調整ができます。パララックス調整は、それぞれの射撃距離に対してセットをします。パララックスエラーの回避に加え、パララックス補正は光学の見えに多少のシャープネスをもたらすものでもあります。

 

 【Mil-Dot Reticle】

 細いレチクルの場合、この点はアドバンテージです。それゆえ、パララックス補正機能はスポーツ射撃、ロングレンジ射撃にとって必須の機能といわれる所以です。Vixen 5-20x50 にはデュープレックスとミルドットレチクルの2種類が用意されています。ミルドットは1970年代にUS Marine によりスナイパー向けに開発され、今では多くのスナイパースコープのスタンダードになっています。ミルドットという名前は、ミルラジアン、そしてドットという専門用語から派生しています。ミル計算方法を用い、仮に対象物のサイズが予め判っている場合、その対象物までの距離を表から読み取ることが可能です。

 

例えばこのように使います:

先ず目的のターゲットを使用の光学機器レチクルを使って捉えると、そのレチクルを覆うポイントが決まります。この数値をもとに、シューターは距離算出テーブルからターゲットまでの距離を計ることができます。ターゲットポイントは100m先で10㎝四方、1000m先で100cm四方と投影されます。これは距離の推測としては素晴らしい方法です。しかしながら、Vixen 5-20x50 にとっては問題ありません。なぜなら、レチクルは第2焦点面に置かれているため、ズーミングをしてもレチクルが拡大されることがないからです。この点は、遠くにある小さな的を撃つ際、理にかなっています。太すぎるレチクルでは的を遮ってしまうことがあるからです。しかしながら、ターゲットまでの距離を第2焦点面レチクルで計測しようとする場合、定められた倍率においてのみ距離測定は機能します。というのも、倍率を変えてしまうことで、レチクル上の目盛り寸法が変化してしまうからです。

 

【Reticle Illumination】

Vixen 5-20x50は第2焦点面にレチクルがあるため、照明装置は接眼部上に配置されています。技術的な見地からは、パララックス補正機構がチューブ本体左側にあるため、ここが一番好ましい場所です。ツァイスやシュミットアンドベンダーはこの問題に対する他の解決方法を見つけました。例えば、ツァイスは6-24x56の照明装置をパララックス補正機構に統合しましたが、この機構は非常に複雑であるため、中級価格帯のライフルスコープに期待すべき仕様ではありません。多くのスコープでは、ミルドットレチクル中央のクロス全体が照らされることが多いですが、Vixen 5-20x50レチクルの心地よい点は、中心の小さな点だけが照らされることです。これは夜間において、照明がレチクルを過剰に照射されることがないため、ハンティングにとても使いやすいということになります。

 

【Shooting Test】

スコープをルーポルド社のクイックリリースマウントにのせ、ハンティング用の精密射撃ライフル(.257 Robert cal)を用いてテストを実施しました。100mシューティングレンジでのゼロインは数発で終わりました。90㎜のアイレリーフはとても快適で、リコイルの強いキャリバーを使用する際も必要な安全性が得られるものです。

 

【Das LRT in der Praxis】

ビクセン 5-20x50の光学性能には驚かされます。特に像の明るさは突出しています。正確な数値を得るため、光透過率をラボラトリーにて計測することにしました。夜間時における93.6%の光透過率という結果ですが、このテストスコープは光透過率という点において極めて高い数値を達成しているといえます。テストスコープには、コントラストに多少の減光が見られました。この点については、欧州トップブランドのスコープは遥かに優れています。これはレンズ周辺の像のシャープネスと色味の再現性にも同様に当てはまります。忘れられるべきではないことですが、像の品質とは、ある一つの高い数値により定義されるものではなく、上述のパラメーター合計に加え、堅牢さ、使いやすさ等により定義されるものです。

 

しかしながら、日本メーカーのコーティング技術は、この価格帯のライフルスコープにおいて非常に優れています。このライフルスコープにはニトロゲンガスが充填されており、スコープ内の防水、そして防塵が施されています。テストスコープを水深50㎝に3時間放置し、更に数時間マイナス18℃のフリーザーに放置しましたが全く問題はありませんでした。常温の部屋へスコープを放り込んでもスコープ内部に曇りが発生することはありませんでした。レチクルの調整は精密に機能しました。ただし、ラボラトリーでの検査では、サイトラインに偏差(光軸のズレ)を確認しました。

 

2焦点面にレチクルを置くライフルスコープでは、設計上の理由から、倍率の変倍時において多少の偏差(光軸のズレ)が起こることは常に予期しておく必要があります。これはトップブランドも同様です。ビクセン 5-20x50 の場合においては、全ての倍率調整域において、最大2.5㎝の偏差が(光軸のズレ)測定されましたが、この数値は許容の範囲以内であり、狩猟における実用途において大きな問題ではありません。

 

スポーツ射撃の競技者たちは、ハンターよりも特定の射撃ルールが定められた競技において、固定倍率のみを用いるため、連続する数発の射撃でめったに倍率を変えることはありません。実際のハンティングフィールドでもスコープをテストしました。夕暮れ時に行いましたが、結果は大変良い内容でした。照明レチクルは微細に暗く調整することが可能で、照明調整の低領域においてもターゲットを過剰に照らすことなく、十分な明るさでした。日中、レッドドットは明るい太陽光下においてもはっきりと見える十分な明るさでした。唯一備わっていない機能といえば、最近の他社モデルでは見かけるようになってきた自動消灯機能です。ハンティングを終えた後に照明スイッチを切り忘れてしまった場合、次回の出猟時に照明の電池が切れていたといった状況はよくあることです。一見、こうしたことは単に不注意のようにも見えますが、実際、ユーザーにとってはとても重要なことです。しかしながら、このVixen 5-20x50ライフルスコープはハイシートハンティングに大変面白いスコープであるといえます。

 

 

 ライターNorbert Klups


ビクセン RS 1-6x24 DP

日本語翻訳完了いたしました。



ビクセン New Foresta 8x56

日本語翻訳完了いたしました。