· 

独 Jagd und Hund 2018 へ行って参りました。

ドイツのドルトムントにて開催された Jagd und Hund 2018 へいってまいりました。今回の展示会目玉は、独ブレーザー社から発表されたライフルスコープ(INFINITYシリーズ)です。このライフルスコープについては昨年のブログでも触れました。独狩猟関係者の話では、このスコープの準備には2年の月日が費やされたということもあり、幅広い狩猟ニーズを網羅した妥協を許さない3本のライフルスコープです。お値段は2500ユーロを超えるため、今の為替レートでは30万円を超えるハイエンド向けライフルスコープです。独大手猟銃メーカーが手掛けるINFINITY シリーズは、ツァイス、スワロフスキー、ライカと同様の価格帯に位置するため、大手光学機器メーカーの欧州市場における販売戦略に大きな影響を及ぼすことは間違いありません。

独シュミットベンダー社のブースにペイントが施されたライフルスコープを発見。こちらはセラコート加工ではなく、丁寧なペイント塗でした。

 

今回のJagd und Hund 2018では、昨年は見かけなかったセラコート加工が施されたライフルスコープをいくつかの異なるブースで見かけました。下の写真はブローニング社のブースで見かけたライフルスコープです。一つはセラコート、もう一つは彫金がツマミ部分に施されています。

日本の光学機器メーカー、Vixenのブースがありました。ブースには狩猟関連の全ての商材ラインナップが準備されており、ライフルスコープ実機を試す来場者で賑わっている様子でした。

 

今回の展示会では新型ライフルスコープは見当たりませんでしたが、2018年3月にニュールンベルグにて開催されるIWA Outdoor Classicsに向けて何らかの新製品が発表されるとのことです。

 

一つ面白かったのは、セラコート加工が施されたVixenライフルスコープが幾つか展示されていました。こちらはプロトタイプの様ですが、今後の展開が楽しみです。

お待ちかねのブレーザー社発表のライフルスコープです。今回準備された新型ライフルスコープは3モデル。

 

INFINITY 1-7x28 IC

INFINITY 2.8-20x50 IC

INFINITY 4-20x58 IC

 

50mmと58mmの2モデルには、ロングレンジシューティングに対応したQDC (Quick Distance Control)という仕様が標準化されています。これは、狩猟中、ロングレンジの使用ニーズが発生した際に、あらかじめ設定しておいたエレベーション補正を手動で呼び出すことができるというものです。

 

 

"Zelo tolerence"(一切の妥協無し)という設計哲学のもとでデザインされたこのライフルスコープは、バレル上のブレーザーサドルマウントにスコープが一体化されるよう、スコープにレールがビルトインされた設計が用いられているため、リングマウントを必要としません。

 

何よりも、ライフルにスコープをマウントしたその見た目の美しさに惹かれます。

INFINITYシリーズのスコープのレチクルは第1焦点面に位置し(ズームに合わせてレチクルのサイズが拡大/縮小と変化するものです)ています。ブレーザー社の新型ライフルスコープでは、第1焦点面にGerman 4 レチクルが採用されています。設定倍率が10倍あるいは20倍であろうが、標的はレチクル上の同一エリアに位置するため、あらかじめ標的の大まかなサイズ(例:鹿、イノシシ)がわかっている場合、標的までの距離を推し量ることができます。

 

イルミネーションについては、先のブログで紹介をいたしましたが、"IC"(Illumination Controlの略)という便利機能が標準で備わっています。

展示会場で見たライフルスコープのウィンデージ、エレベーションは1クリック = 1cm/100m と表示されていました。

 

小さなことですが、センチメートルはドイツ人や日本人には大変理解しやすい目盛りです。左のスコープは1-7x28 IC です。

ブレーザー社のボルトアクション ライフルです。握りに美しいレザーが施されています。こちらのライフルには部分的にレザーが用いられていますが、説明を受けたブレーザー社のアテンドの方によると、オールレザーも可能とのことでした。

 

ブースでは、女性を意識したデザインも多く、こうしたレザーを取り入れたライフルも新たな市場開拓を意識してのことなのでしょうか。

昨年からサイレンサーの使用が解禁されたことで、今回の展示会では多くのブースでサイレンサーが取り付けられたライフル銃を見かける機会がありました。

 

2016年から世界規模で大きな変化を見せている複雑な情勢を受け、独狩猟業界においても規制緩和は更に広がっていくことが予想されています。

昨年から、独狩猟雑誌にて Schweinepest (アフリカ豚コレラウィルス)についての記事を度々目にすることがあります。

 

独近隣諸国のポーランド、チェコ共和国にてイノシシ、豚への感染が確認されており、ドイツでは水際対策として、感染の恐れがある野生イノシシ駆除を短期間で加速させる可能性があります。そこで規制緩和の可能性がでてきているのが、暗視ライフルスコープや、サーモグラフィー機能内蔵ライフルスコープの狩猟への使用です。今回の展示会でも、この分野の光学製品を取り扱う多くのブースを確認しました。この点については、独法律に関わる狩猟ルール改正などと併せ、情報アップデートをさせていただきます。以上 Jagd und Hund 2018 でした。

次回のブログ更新は、独ニュールンベルグの IWA 2018 OutdoorClassicsです!

 

InstagramSNSにて情報発信もしておりますのでよろしくお願い申し上げます。