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ちょっと上でゼロイン。

【はじめに】

2020年の3月末、❝うまくゼロインが出来ない或いはレチクルの移動量が足りない等...❞ という内容でBlog記事を書きました。この記事への追記として、翌年の2021年11月末、❝エアライフル傾斜マウントのススメ❞ というタイトルのBlog記事を用意し、その中で中心より上でゼロインを設定するという選択肢に触れたことがありました。今回、遂にやってまいりました伏線回収のこの機会。

 

空気銃(エアライフル)シューターの場合、ペレット/空気銃用スラッグを使った射撃ではドロップ量が極めて大きい為、射撃場でお会いしたお客様の中には タマが標的まで届かず(*別の言い方をすると:着弾地点を視野に入れられず)❝エレベーションが足りない...。❞ とボソッと呟くシューター様、多かったです。今回はこんな方法もありますという記事。それではBlogいってみます。

 

【中心より上】

ライフルスコープにはエレベーション調整機構が搭載されています。この機能は、市場に流通しているスコープの殆どに標準で付いていますが、価格帯と仕様面で決定的に異なるが一つあります。それはレチクルの移動量

 

スコープの仕様表にある、❝エレベーション❞ という項目がそれです。製品によって、+/-30MOA、+/-50MOA、100MOA (*+/-100MOAと同じ意味)、といった表記で表されています。これはレチクル中心をゼロ地点とし、上方向と下方向にレチクルを動かせる限界値を示しています。ちなみに左図はVixen アルテス5-30x56MLRというスコープのレチクルです。このスコープの場合、中心から上下方向へ各50MOA(+/-50MOA)の移動量を有しています。

 

このエレベーション割当て、❝長距離へ全振り❞ という偏ったゼロインも選択肢としてはあります。但し、ダウンサイド(短所)として、50m以内の近距離射撃への対応には難(*空気銃によってはバレル先端をわずか、又はかなり下方へアジャストする必要性)が残ります。

 

【遠射へ全振り】

ライフルスコープまたは、光学機器の狩猟用途はハンターの皆さんそれぞれです。近距離で動きのある標的、少し距離のある場所で動きが少ない標的。低倍率から中高倍率の領域をカバーするオールラウンドを謳うスコープもありますが、今回の例では、傾斜マウントという特殊マウントは使わず、❝自分ロングレンジしか空気銃ではやらないので。❞ に全振りした場合を例に取ります。

 

【備えあれば】

図の上側イラストは一般的なゼロインです。レチクルの中心で空気銃の着弾点と、スコープ狙点のアライメントを取ります。そして次の下側イラスト。こちらはレチクルの中心ではなく、中心よりも少し上のポイントでゼロインを行います。

 

こうすることで、距離50mで設定したレチクルの中心でゼロインした時では対応が難しい75m地点にあらわれる標的(*レチクルのポスト下方で標的が隠れてしまう、或いは見えない等)に対しても、視野に標的を捉えた状態で射撃へ臨むことが可能になります。今回、イメージがしやすいよう射撃場にて動画を実際に用意して参りました。

 

【実践してみた】

そして今回、実際に上述の、空気銃で遠距離全振り設定を意識したゼロインを埼玉県にある長瀞射撃場で実践してみました。

 

使用スコープはVixen アルテス5-30x56MLR(34㎜径チューブ)、空気銃は米国スカウトエアガンズ社のエピック、口径5.5mm。射撃距離は50メートル。ゼロイン3発から始め、続けて試射5発、計8発のノーカット動画です。


 

★大切な注意事項★

フィールドで狩猟に取組む場合、ハンターの皆さまは狩猟が許可されている場所であることの事前確認は言うまでもなく、バックストップを必ず意識すること、仮に外してしまった場合でも射線上には人、民家、道路に加え、事故発生の恐れがないことへ100%確証を持てる自信がある場合にのみ、引き金に指を掛けることが大変重要でであり、引き金を引かないという選択肢は常に持っている必要がございます。加えて、所持許可を受けているお手元の空気銃について、有効射程距離を正しく把握しておくことも安全管理を徹底するうえで極めて重要ですので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 

【実用的な解決法】

製造側としては、チューブ径が太いほど(*1インチより30㎜、30㎜より34㎜)、スコープサドル内部の構造に余裕が生まれ、移動量を多く稼ぐことができるとされています。但し、やはり移動量には限界があり、この点を補完するために傾斜レール、または傾斜マウントという製品が市場には流通しています。

 

20MOA、15MOAといった傾斜角が固定されている製品が多い中、0MOAから70MOA、0MOAから35MOAという範囲を7段階ステップで可変できるタクティカルマウントもあります。それがエラタック傾斜マウント。このマウントの優れた点は、シューターの任意で自由に傾斜を設定できること。ダイヤル設定の為、もちろん、不要な場合は0MOA(傾斜ゼロ)も設定可能。

 

【まとめ】

今回はエアライフルで長距離への極振りで記事をお届けでした。ゼロイン時、頂戴するお客様からの質問に ❝そもそも1発目がどこに着弾したのか分からない…。ゼロインへ進む前にあれっ?どうすれば...。❞ というのがあります。どなたにでも実践できるコツがありますので、こちらは改めて別の機会にご紹介して参ります。

 

ということで、今日はこの辺りでブログ終わります。ここまでお付き合いを戴きありがとうございました。

 

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