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スプリング式とキャンティング。

射撃場で空気銃(エアライフル、スプリング式)の射撃練習に励む際、ゼロインは済ませているはずだと感じているにもかかわらず、ペレットの着弾点が何故か左側、あるいは右側に偏ってしまう。こんなご経験をされたシューターの方々、もしかすると、射撃時に僅かエアライフルを傾けてしまっているかも。というブログです。

 

【キャンティング】

今回のBlogタイトルにある、キャンティング。海外では、キャントなど呼ばれますが、このワードは傾き(ティルト)と同義語です。

 

これは銃器本体が左右の何れかに傾いている状態をさし、この状態にある猟銃の銃口から射出された弾の落下弾道は、縦ではなく傾いた放物線を描き、結果、銃器本体が右傾斜、左傾斜の両パターンにおいて、スコープ越しに見えている狙点(POA)と実際の着弾点(POI)との間にズレを生じさせることになります。

 

シューターの方には、このキャンティング時の着弾点を踏まえ、理由があって意図的に傾けている方々も、勿論いらっしゃいます。スコープと併用して使う、サイドへの傾きが付いたマウントへ載せたドットサイトなども同様です。

 

本記事につきましては、射撃姿勢や射撃時のリキミなどが原因で、無意識に猟銃を傾けてしまっている(かもしれない)方への新たな気付きとして読んでいただければと思います。それではBlog、さっそくいってみます。

 

【傾いている?】


スコープ越しには標的の中心を狙えている。でも着弾は何故か片方に寄る。もしかするとスコープか

猟期も近付いてきておりますので、時間と手間が許されるのであれば、光学機器周辺を改めて観てみることもひとつです。ボアサイティングの前に、銃器にライフルスコープが正しく取付けられているかを確認してみる。加えて、レチクルが水平ではなく、傾いた状態でマウントに固定されてしまっている場合も同様です。

 


但し、過剰な心配を始めてしまうと、ラッピングツールに始まり、銃器レシーバー部へ慎重(*水準器を複数使い、銃、レール、スコープのエレベーションなど)にマウントを取り付けたとしても、更にバレルに空いたボアという不確定要素を排除するためにレーザーを使って精密設定を…。という具合に、ネバーエンドなセッティングサイクルに突入していくかもしれません。が、こちらのBlogでは、そうした深い領域までは踏み込みません。

 

【力んでいる?】

上述を踏まえ、いよいよ今回のテーマ、キャンティングです。注:解説の為、上図POIは誇張表現にて用意しています。

 

スコープの取付は問題なし。但し、ここで使用している猟銃はスプリング式の空気銃。装薬銃、プリチャージ式エアライフルとは異なり、ダブルリコイルとも呼ばれる特徴のあるリコイル動作を繰り出すスプリング式空気銃。

 

このバネ式、次の瞬間に来るであろうリコイルを意識するあまり、リキみ過ぎた状態で引き金を絞ると、右へ左へ無意識に銃器を傾けてしまい、結果としてキャント状態に陥り、この傾きにより着弾点が大きくズレることになります。射撃距離が遠くなるにつれ、このズレも大きくなり、ハイマウント化させている場合(*レールに傾斜、或いは光学機器を前傾させていることで、銃口が僅か上向いている)、低い場合よりもズレ幅は大きくなります。

 

【スプリング式】

当方所持の猟銃は、バネ式でもハイパワーな部類ではなく、有効射程は30m程度です。リコイルもそこまで激しくないと感じています。

 

但しこのリコイル、ペレットが銃口から射出される前に発生することから、引き金を絞る際、ダブルリコイルを意識してガチガチに構えてしまうと、一瞬狙点がキュッと意図せぬ方向へ引っ張られるような感覚に包まれます。

 

バイブレーション(振動)への対応ですが、射撃場での練習でも、先台をガンレストやサンドバックに載せるよりも、フォアハンドで柔らかく支えてあげる方法の練習を積むことで、より実戦に近い状況で訓練ができると思います。フィールドでの依託射撃でも同様です。

 

【ダブルリコイル】

さて難関のダブルリコイル。空気銃、特にバネ式の場合、一般的な装薬銃のそれとは少し勝手が違うことは広く知られていることですが、海外の専門サイトで勉強をしてみると、フォアハンドの握り、チークピースへのほお付け、銃床バット部の保持、これら接地3点に掛かるバイブレーションの逃がし方(*発生するリコイルを力で抑えつけるのではなく、如何にして散らすか。その名は、大砲などの大型重火器に由来するとされる アーティラリーホールドが重要。といったアドバイスが多いです。

 

【まとめ】

今回のBlogはスプリング式 空気銃のキャンティングでした。緊迫した場面での有効性は置いておき、左右の傾きはバブルレベルを付けることで、水平状態を確認する指標を得ることができるかもしれません。今回もここまでお付き合いを戴き、ありがとうございました。

 

InstagramSNSにて情報発信もしておりますのでよろしくお願い申し上げます。

 


【おまけ】

標的までの距離は50m。

 

50m先の標的を相手にする際、当方の場合は図中の左側のような感じで、バレルを僅か上へ傾ける必要があります(*有効射程が30m程度の為)。製品によっては、有効射程は50m、でも75mだと歯が立たない…。そんな皆さまへ。

 

この場面、50m先を狙う銃口から射出されたペレットが描く弧の弾道は30m時のそれよりも確実に大きく、ここでキャント状態が発生していると、銃本体の左右への傾きに応じ、弾の着弾点は大きくズレ、標的外の左右下方向の何れかに着弾します。

 

【Eratacで解決】

ここで攻略すべきは、有効射程外(的が見えない)、②クセの強いバネ式、③キャントによるPOIのズレなど。

 

意識を置いておく必要がある要素が多いです。但し、こののハードル、エラタックで解消できます。

 

さあ今シーズンから、始めてみましょうエラタック

 

難しかったロングレンジが劇的に変わります。

 

詳しくは最寄りのお取扱い銃砲店様へどうぞ。