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ドイツにおけるハンティング(狩猟スタイル)の色々。

過去のBlogにて、ドイツでのドリブンハント(巻狩り猟)に触れさせて戴いた機会がありました。ドイツでは、狩猟にまつわる伝統的な行動様式や文化が国内各地に広がるローカルハンティングクラブを中心に、今もなお狩猟現場でハンターにより実践されています。日本とドイツの狩猟へのアプローチを様々な角度から比較しようとするとき、大きく異なる要素のひとつに狩猟スタイルがあります。

 

ハイシートと呼ばれる狩猟スタイルがそれです。自動車でドイツ国内を運転していると、町から少し離れた郊外の農場に隣接する道路では、必ずと言っていいほど下写真のような、はしごが付いた背の高い小屋が視界に入ってきます。このハイシートは農地を囲むように生い茂った木が生える場所に複数設置されていて、ハンターはこの小屋に潜み、時々場所を変えながら農地を荒らす害獣の駆除を行っています。

 

ドイツへ初めて訪問した頃、遠目でこの建造物を見たときには農地防犯対策用の見張り台か何かかと想像していましたが、まさか農地を荒らす害獣の駆除を行うためにハンターが隠れる建物だとは思いもしませんでした。

 

このハイシートでの狩猟は、高所からの撃ち下ろしです。柔らかい農地がバックストップになるという考え方ですが、かといって跳弾の可能性も含め、獲物を視認したとしても、農地の近くを散歩する住民がいる可能性、獲物との距離等も勘案し、ハンターはむやみやたらに引き金を引いたりしません。 

 

こうしたハイシート猟は、ハンターの安全確保に対する理解とセルフコントロールに加え、私有地内で銃猟を許可されているハンターと農地オーナー、地域住民の安全を守る警察との信頼関係なしには成立していないはずです。

 

一方、日本でもハンターによる銃猟が農地の傍で行われることは少なくありません。獲物が現れる場所は私有地であることが多く、特に猟銃を所持している場合、ハンターとしてのマナーやその土地の方への礼儀が欠けていると見られてしまうと、見知らぬ者同士、ハンターと土地オーナーとの間にトラブルが発生してしまうことも想像できます。 

 

ドイツでは一般的なハイシート猟ですが、日本でそれが根付く土壌があるか否かについてはどうでしょうか。日本とドイツでは農業用地を取り巻く法律も異なるはずで、気になって少しだけインターネットで調べてみましたが、日本の農地法建築基準法に加え、都市計画法(参照外部サイト:e-GOV)といった法律が関係してくるようです。非該当のケースもあるようですが、何れにしても実現に向けては専門家のアドバイスが必要な領域になりそうです。個人的には非常に興味深いハイシート猟。ハードルを越えてどなたかチャレンジしてみたい方がいれば少しお話も伺ってみたいです。

 

下の写真は中からの景色です。

ハイシートというのは一人用もあれば、二人並んで座ることができる広さの小屋もあります。雨風を遮る窓と壁、室内にはカウンターテーブルを備える作り込まれた小屋、もはやハウスなのではないかと思わせる高級ハイシートもあります。写真のような窓もない野ざらしのハイシートでも、ちょっとした非日常を味わうことが出来ます。軽食を持ち込み、ゆっくりとした時間を過ごす、天気が良い日はとても落ち着く空間です。

 

今回はこの辺でBlogを終わります。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

 

【独り言】

少し本線から脱線したハイシートの話です。

農地に隣接する警察署の真裏にハイシートが設置されている場所がありました。日本で言う交番や派出所のような小さな箱ではなく、ナントカ署というレベルのビルです。ルールに倣って設置されているハイシートでしたが、日本では信じがたい光景です。当たり前ですが、猟銃の銃声が暑の裏で鳴るとPolizeiの集団がこの建物から一応とび出しては来るらしいのですが、"あぁいつものハンターね。"といった具合です。コワオモテの独警官の人々でもこんな場合はフレンドリーです。以前にお会いした方は、ハンターでありながら警察官で、精肉加工の有資格者でもあり、ハンターが仕留めたイノシシや鹿の解体施設をも自宅に持っていました。ドイツ人ハンターいろいろです。脱線バナシ終わります。