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狩猟の分類とハンティング用 ライフルスコープ

ドイツではベンチレスト、エクストリームロングレンジは別として、狩猟スタイルは大きく5つの分類に分けられます。ドリブンハントは日本で言う巻き狩り猟です。ストーキングは忍び猟、ハイシートとは日本では一般的ではありませんが、畑に隣接する背の高い簡易小屋に潜み獲物を狙う猟です(基本的に椅子に座って獲物を待ちます)。アルペンハントまたはマウンテンハンティングとは徒歩で山岳地へ入り込み、主に日中行われる猟です。ロングレンジとは250mくらいから1000m以内の射撃距離といったところでしょうか。それ以上の距離になると、エクストリームロングレンジシューティングと呼ばれる射撃競技分野となり、1.5km〰3kmほど先の的を狙う超高度精密射撃領域であり、技術面に加え、弾道学、射撃システムへの深い造詣を踏まえていることは言うまでもなく、その先はもはや精神修行ではないかとも思える極限射撃カテゴリーです。

ビクセンでは狩猟を目的としたハンティング用ライフルスコープが多種用意されています。ラインナップの基本はドイツの狩猟シーンがベースになっているため、これまでは特にDuplex, German4などがレチクルの主流でしたが、Artesを始めとするロングレンジを意識したスコープへ向けたレチクルも今では増えてきています。それでは簡単にドイツの5つの狩猟分類をビクセンのスコープと照らし合わせてみていきます。

ドリブンハント

ドイツで行われるドリブンハントでは、猟に参加する比較的大きな集団を形成する各人に役(勢子チームとシューターチーム)を割り振り、チームワークで鹿やイノシシを狙うハンティングスタイルです。シューターの射撃距離は短く、咄嗟の判断も重要となることから、視野が広く(低倍率)両目で獲物を目視でき、その動きの流れでレチクル内(イルミネーション)に獲物を捉えて射撃が可能なスコープが実用的とされます。ビクセンのラインナップでは、伝統的な1-6x241-8x28FFP、1.5-6x42などが該当するスコープです。加えて、このカテゴリーへの新スコープとしてED1-8x25の市場投入へ向けたスケジュールがビクセンからは既に発表されています。

 

 

 ストーキングハント

ストーキングハントでは、野生動物に気付かれないように射程距離内に近づくスキルが必要です。経験とスキルに加え、適切なスコープが必要になるわけですが、体力に自信があるハンターは別とし、山中での機動力という観点からコンパクト性と軽さに重きを置いて、ここではビクセン製で近しいスコープを見てみます。Vixen 1.5-6x42は540gと軽量で、最低倍率1.5x、最大倍率が6x、イルミ照明付きです。パララックス設定は100m固定ですが、このスコープを用いての実際の射撃範囲は最大150m前後であることから十分です。ターレットにはキャップが付いている為、設定が狂うことなく安心です。しかしながら、このモデルは現在取り扱われておりません。ほかの選択肢としては、1-6x24、1-8x25、2.5-15x50、2.8-15x56なども選択肢です。

 

ローライトハント

この分野のハンティングは主に夕暮れ、夜明けに行われるため、薄暗い環境でも射撃が可能な、口径が大きく、像の明るさに重きが置かれるスコープが主流です。ビクセン製品では対物レンズ50㎜径、56㎜径、58㎜径が該当するスコープですが、ここでは最低倍率2x〰3x程度を備えるスコープの方が多目的用途に対応が可能です。30mm径チューブでは2.5-15x50, そして新モデルの2.8-15x56、1インチチューブでは4-16x44が該当します。ここではイルミネーション機能は必須です。

ハイシートハント

ドイツでは一般的な狩猟スタイルです。各地のハンティングクラブと農家の良好な関係があって成立するスタイルかもしれません。ハイシートと呼ばれる簡易小屋(地上高さ4〰5メートル)を農家或いは土地の地主さんの許可を得て設置し、その中にこもって行う狩猟です。基本、椅子に座りっぱなしです。設置場所は畑や森の端または森の中に設置(視界が開け、見通しの良いところ)されているケースもあります。射撃は常に下方向への撃ち下ろしですが、柔らかい土であるため跳弾の危険は回避されているようです。射撃距離はドリブンハントほど近くはありませんが、高倍率スコープは必要としないハンティングスタイルです。ビクセン製品では、対物口径40㎜以上のスコープがこのカテゴリーでの必要要件を満たしています。

アルペンハント

山岳地での狩猟は、目的地へ到達し獲物を抱えて出発地点まで戻ってくる体力的なチャレンジが予想されます。歩いて移動する場合、機動力を高める方法として装備を軽くすることに重きを置くため、軽くコンパクトなスコープが理想です。ビクセン製品でいうと、幅のある倍率域(パララックス機能必須)を備え、対物レンズ50㎜以上、そして600g以下(軽量)のスコープは2.5-15x50、5-20x50です。但し、射撃距離によっては、ロングレンジと重複するスコープ分類になってきます。新型2.8-15x56がドイツ市場へ向けて先行投入されていますが、このカテゴリーで用いられるスコープは低倍から高倍までの倍率域が広くカバーされていることから、比較的オールラウンドなハンティングスタイルで活躍しています。

 

ロングレンジハント

ロングレンジ射撃は主に米国で人気があるハンティングスタイルです。ひと昔前のライフルよりも、タクティカルに特化した高精度ライフル銃の出現により、さらに遠い距離の獲物を正確に狙うことが可能になりました。ロングレンジの場合、例えばゼロインを200mの距離で調整することで300m先の獲物を狙う際も弾道落下補正をあまり気にせず射撃が可能です。但し、十分な訓練を積み、弾道学の知識を有していることが大前提で、射撃に100%の確信が持てないシューター以外、射撃場以外での狩猟シーンにおけるロングレンジ射撃は控えられるべきです。双眼鏡及びレンジファインダーなどの必需品とは別に、ロングレンジ向けのスコープとしては、最大倍率15x以上、パララックス有り、対物レンズ口径は50㎜以上、ビクセン製品でいえば、5₋20x50、6₋24x58Artes 5₋30x56が該当するスコープです。但し、第2焦点面に指標付きレチクルを備えたスコープの場合、レチクル指標はメーカーにより特定された倍率(例:BDC10では10倍)でのみ正確な情報を示すことから、予め距離の違いによるレチクルの読み取り指標を正確に把握していない限り、実際の狩猟フィールドでの実用性は高いとは言えません。欧米メーカーでは、事前に設定しておいた複数のゼロイン位置(例:100m, 200m, 300m)を素早く呼び出せるエレベーション機構を備えたスコープもあり、BDCといったタクティカルレチクルも選択肢ですが、実用途からすると、DuplexやGerman4などのハンティング向けレチクルと複数のゼロイン位置呼び出し機能を備えたスコープの組み合わせもまたひとつです。

 

 

以上です。次回はライフルスコープのアイボックスアイレリーフについて少し触れてみたいと思います。