【はじめに】
今年度ラストのBlog記事はデジタルライフルスコープのPARD(前回記事)。日本仕様のPARD(*株式会社あくあぐりーん様お取扱い)は現在5モデルが用意され、無線機能の排除、日本語プログラム等、初めての方でも安心してご使用をいただける国内向け仕様に仕上がっています。今回、取り上げるのはPARD TD32(*対物レンズ径32㎜)。このTD32は、6.5x、8.1x、9.8x、11.4x、13xまでのファイブステップ変倍が可能なモデルです。
ただし、純粋なレンズ光学系で構成されるライフルスコープにおいて前述の最高倍率は決して高倍率ではなく、倍率11xと聞いても正直なかなかピンときません。そこで...
【大きく感じる理由は?】
長瀞射撃場(50m射座)でPARDシリーズを実際に使って射撃をした感想からすると、倍率が足りないと感じたことはありません。何故でしょうか?
そこで今回、私が感じていたこの不思議
❝PARDの使用中、倍率が足りないと感じない❞
(*倍率は十分に足りると言えます。)
この理由を見つける ため、PARD TD32の倍率ごとの実際の見え方に加え、 比較対象として純粋なレンズ光学系で設計されているVixen Artes 5-30x56を使い、距離48メートルに置いた対象物を2つの光学機器製品で覗いてみることにしました。
【ガムの箱】
空気銃(エアライフル)を用いる狩猟で狙う獲物はシューターによって異なります。狩猟が許可されている有害鳥獣類に指定されている鳥類のサイズは様々ですが、有効射程の内側にあり、ある程度の距離にいる比較的小さな鳥類を狙う場合が多いかもしれません。
そこで、今回の検証実験では的のサイズ感を簡単に把握していただけるよう、身近な対象物を用意しました。
【使用した指標】
こちらの箱は、小学生の頃からお世話になってきた球状のフーセンガムが4個入った有名なガムの箱です。サイズはタテヨコ3.2cm。以下は実験の内容:
【今回の実験】
1,距離48メートル地点に縦横3.2㎝の箱を設置
2,PARD6.5x~11.4xまでの倍率で箱を撮影
3,比較対象Vixen Artesの類似倍率で箱を撮影
4,倍率が足りないと感じさせない理由に迫る
といった内容になります。
前置きが長くなりましたが、さっそく本題へ進みます。
【低倍率比較】
箱までの距離は48メートル。PARD内蔵の距離計を使用。倍率は内蔵のサークル液晶画面の右上、PARD設定倍率は6.5x。次に、比較対象としてVixen Artes 5-30x56を覗き同一の箱を見てみます。倍率は5x。
こちらの図はVixen Artes 5-30x56(*設定倍率は5x)で覗いた際の箱の見え方。この倍率では、かろうじてタテヨコ3.2cmの箱が見える程度でしょうか。
【中倍率比較】
そしてこちらの図。PARDの倍率は8.1xですが、比較対象のVixen Artes 5-30x56の倍率10x時よりも大きく見えています。(*撮影時の手振れは当方の未熟な撮影技術に起因していることにくわえ、PARD内蔵の液晶画面をスマホで撮影したことから、実際はもっと綺麗に見えます。)
Vixen Artesでの倍率10x。PARDの倍率8.1xよりもフーセンガムの箱の大きさは僅かに小さく見えます。
【高倍率比較】
こちらはPARDの倍率11.4x。距離48メートルに置かれたタテヨコ3.2㎝の箱は、比較対象のVixen Artesの倍率15x時の像よりも大きく見えます。
Vixenのアルテス、倍率15x。光学15倍ですが、PARDのデジタルズーム11.4倍よりも少しだけ小さく見えます。
【20倍&30倍】
Vixen Artesの設定倍率20xで覗いた箱のサイズ。PARDの11.4xで得られた箱のイメージに一番近いように見えました。
Vixen Artesの30倍。タテヨコ3.2㎝の箱デザインがしっかりと視認できました。
【結論】
【PARDの基本倍率は大きかった】
結論、PARDは大きく見えます。48m地点に置いたタテヨコ3.2㎝の箱。Vixen Artes 5-30x56の対物レンズ径は56㎜であり、一方のPARDのそれは32㎜であるにもかかわらず、PARDの11.4倍はVixen Artesの20倍程度に相当していることが今回の実験でわかりました。不思議に感じていた理由は、PARDベース倍率6.5xの独自基準にありました。最大で、ベース倍率6.5xの2倍までをデジタルズームで倍率アップすることができ、6.5x、8.1x、9.8x、11.4x、13xの5ステップ階調で変倍が可能なPARD TD32。
【内蔵レチクル】
PARD TD32には6種類のレチクル(クリスマスツリー型、BDC型、ミルドット型、馬蹄形型、デュープレックス型、G4型)が内蔵されています。但し、PARD製品において、ウィンデージ/エレベーションの調整を射手がフィールドで行う場面は無く、すべては射撃場でのゼロイン設定時に完結しています。6種類の内蔵レチクルは単にデザインであり、各レチクルの目盛りには大きな意味もありません。
【マルチな機能】
射撃距離によってことなる着弾点は弾道計算によって導かれ(*設定のパラメーター入力するタマのデータから、ここを狙えといったアドバイスが画面に表示)ることから、レチクル指標を読み取る際のミル、あるいはMOAという単位に頭を悩ます必要はPARDではなく、この辺りは射手によって好みが大きく分かれるところではあるかもしれません。この他に、レンジファインダー、サーマル、ナイトビジョン、ジャイロスコープ、弾道計算などの機能を標準搭載しているPARD。まさにハイエンド向けのデジタルライフルスコープです。
【水面反射による影響】
追記:距離計機能について野外テストを実施しました(2026年1月10日)。
ということで少し長くなってしまいましたが、PARDは大変魅力的なデジタルライフルスコープ(販売サイト)です。2026年はこちらの方面の記事が増えてくることと思います。
【100m試射動画】
【動画について】
50秒程度の動画です。狩猟向けエアライフルを用い10発の試射。3発目と4発目は画角外に着弾。
【場所と標的】
令和8年1月、埼玉県にある長瀞射撃場にてハッサン社、ファクタースナイパーS(口径5.5㎜)を使いPARDの弾道落下補正プログラム機能をテストする試射を行いました。
【ペレットと光学機器】
使用した弾はペレット、.22 (5.5mm) H&N 、ペレット、バラクーダ、21.14gr、発射数は10発です。ライフルスコープはPARD TD32。
