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ドイツ IWA2024 訪問レポート①

1年ぶりのドイツです。このたび、ニュルンベルクにて4日間(2月29日~3月3日)の期間で開催された、IWA Outdoor Classics 2024 を訪問してまいりました。こちらの見本市へは出展社側、そしてビジターとして15年ほど定点観測を続けて参りましたが、私の立ち位置から見えるIWAの景色は大きく変わったものになってきています。IWA2024のBlogレポートは、数回にわたり連載シリーズとして用意してまいります。

 

【目に見える変化】

IWA2024の率直な感想です。

 

各出展社のブース装飾は、コロナ前のそれに戻りつつある華やかさが感じられました。IWA開催当局の公式発表では、来場者数は4万人ということで、一見するとコロナ前2019年の4.5万人とさほど変わらないようにも見えてしまいますが、訪問者の内訳は大きく変化しています。

 

Blaser, Mauser, Sauer, Zeiss, SwarovskiといったIWAを代表する銃器メーカー、狩猟向け光学機器メーカー面々によるブース出展は見送られているままです。

 

どの業界でも言えることですが、大型の出展社(*ここではメーカー)には常に大型の取引先(販売ディーラー)が集まります。彼らは資本力に優れ、更に自国に自社サブディーラー網を抱える強力な販売会社でもあったりします。IWAは国際見本市ですので、欧米の狩猟市場で戦う販売側の猛者が集う機会でもありました。消費行動の変化と流行に敏感な大手メーカーは、消費者へのリーチ手段を既に別のアプローチで進めています。コロナ以降、こうしたビジター勢のIWA訪問が大きく減少しています。

 

一方、今回のIWAでは、FN傘下のブローニング、ウィンチェスターのように、久々にIWAへ戻ってきたメーカーもあります。ただし、ドイツ狩猟業界を代表する大型プレーヤーたちのIWAに対する姿勢は、今のところ一貫しているように見えます。

 

【会場規模の縮小】

前回のIWA2023では、競技用や狩猟用途に用いられるエアライフル、そして遊戯用エアソフトのASGブースなどは1箇所にまとまったフロア構成でしたが、今回のIWA、全体として大きくフロア面積を減らしています。これに伴い、とある出展社の話では、負担するブース費用(床面積当たりの費用)も大幅に値上げされたようです。

 

今まで単に気が付かなかっただけかもしれませんが、エアソフト関連のフロアが広く整い、BB弾を使った実射イベントも盛んに行われていました。この分野は台湾企業の出展が多かったような気がします。

 

とはいうものの、IWAは、欧州では依然として最大規模の狩猟市場向けB2B展示会であることには変わりなく、継続の方向で存続することを望みますが、出展に見合う対価が得られたか否かを判断するのは実際に出展したメーカーです。

 

【実銃メーカー】

軍用、そしてBlaser、Mauser、Sauer、を除き、狩猟用途で用いられる、皆さんが頭に思い浮かぶ殆どの欧米メーカーの銃器がIWAには揃っています。

 

4日間を通して、ライフル、ハンドガン関連の中、特に人だかりの山が絶えなかったように見えたブースのひとつがCZ。

 

そのほか、空気銃、ライフル、散弾銃など、特にトルコからの出展企業の多さには驚きました。これだけメーカーが多いと、銃器を含む関連製品分野はトルコ国内の競争も熾烈と想像しますが、輸出向けOEM生産も多いのだろうと思います。

  

今回のIWAでは、ルーティーンとなっている光学機器メーカーのブース巡りに加え、銃器メーカーブースを回り、アテンドの方々に話を伺う機会も得ました。個人的には、狩猟業界を捉える自身の視野が、これまでで一番広がったIWAとなったと感じています。

 

【まとめ】

IWA開催の前日、このニュルンベルグのイベント会場では、軍用向けの見本市が開催されていました。このイベントはかつて1日だけの短いイベントでしたが、今年のそれは3日間。開催当局の発表では、昨年7200人程度のビジター数は、今回12000人まで増加した様子。このイベントは一般には開放されず、ローエンフォースメント関連従事者に限ったものです。

 

今回のIWA、来場者数4万という開催当局発表ですが、体感ではそのようには感じられませんでした。確かに、午前中から昼頃にかけて会場は賑わっていましたが、午後からはちょっとあれっ?な感じでした。もしかすると、上述のイベントが関係している(軍用需要への関心高)のかもしれません。

 

各国狩猟系ビジネスマンの喧噪鳴りやまぬ巨大な社交場というIWAは少し前の話で、IWA2024は少し静かなものになってしまいました。恐らくこの先、IWAはB2Bという展示会スタイルでの継続ではなく、エンドユーザーを巻き込んだイベントに自らの形を変えていくかもしれません。

 

ということで、IWA2024に関する出張レポートにつきましては、春頃にかけて連載を予定しておりますので、お楽しみにどうぞ。

 

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