上図はビクセン 6-24x58MD ライフルスコープの内部レンズ簡略図です。実際のレンズ構成は、対物部から始まりエレクターチューブ内、接眼部までの内部スペースに十数枚のレンズが組み込まれたものになります。
簡略図の説明ですが、先ず対物レンズから入射した光線から結ばれる像は上下逆さまの状態です。次に光はエレクターチューブに導かれることで結ばれた像は正立に置き換わります。
第1焦点面と第2焦点面の間に挟まれるようにエレクターチューブは本体サドル部分に組み込まれています。 光は最終的に接眼レンズを通り、その先のアイレリーフ位置で正立像としてようやく"見える”というのがライフルスコープの簡単な仕組みの説明です。ライフルスコープには第1焦点面レチクル(FFP)と、第2焦点面レチクル(SFP)という分類があります。
余談ですが、デュアルレチクル(1stと2ndの両焦点面にレチクルを有したスコープ)という新たなカテゴリも生まれています。こちらはまたのちほど。
FFPとSFPスコープの違いですが、レチクルが倍率に比例して拡大縮小するタイプがFFPライフルスコープ、倍率に関係なくレチクルが常に一定の大きさのスコープがSFPライフルスコープと呼ばれています。
ウィンデージとエレベーションを動かしてレチクルが上下左右に移動する理由は、第一焦点面または第2焦点面に置かれたエレクターチューブ内に備わったレチクルを縦軸(エレベーション)と横軸(ウィンデージ)から押したり引いたりしているからです。
前回の記事でライフルスコープのパララックスについて触れさせていただきました。対物レンズから入射した光は第一焦点面と第2焦点面で像を結びますが、この結像点とレチクル面が一致していないことでパララックス(視差)が発生しています。
左図では、第1焦点面の前方にフォーカスレンズが見えるようにイラストを準備しました。このレンズを前後させる機能を司るのがパララックス補正機構です。このレンズが前後することで、第1焦点面と第2焦点面の結像ポイントが前後します。
第2焦点面レチクルを例に取ります(Vixen 6-24x58)。レチクルの上下左右位置はシューターの任意操作により可動しますが、レチクルの前後位置は固定されています。したがいまして、パララックスが発生しているという状態は、この場合第2焦点面の位置がレチクル位置に対してズレてしてしまっているためで、ここを正しい位置に補正してあげればパララックスは解消されます。
ここで登場するのがパララックス補正機構です。SFPスコープにおいて、これは第2焦点面とレチクル面を合わせる機能を果たしてくれます。製品によっては同様の機能を果たすAO(アジャスタブルオブジェクティブ)が対物フードに付いている場合もあります。
左図は、接眼部から見てレチクルよりも手前にターゲットの合焦位置があるという極端な例ですが、レチクルの後ろに第2焦点面が来てしまっています。パララックス発生中です。
こちらの図ではレチクル前方に第2焦点面が来てしまっています。やはりパララックス(視差)が発生している状態です。この状態でスコープを覗いた場合、頭を数センチ左右に動かすと、レチクルがフワフワと浮いているように見えるはずです。こうした場合は、パララックス補正ツマミを正しい距離目盛の位置で調整をすれば解決します。
ライフルスコープの使用が初めてで慣れない場合でも、この作業を繰り返し行うことでレチクルのフワフワは必ず解消されます。
【距離計を内蔵したドットサイト】
こんな光学機器もあります。
狩猟における実際のフィールドでは、標的までの距離を知っているか否かで、得られる結果に大きな違いが現れます。
DoRaSight(ドラサイト)は、レンジファインダー内蔵型のドットサイトです。つまり、ドットサイトの赤点を覗きながら、視点の移動で標的までの距離が判る。測定可能な最大距離は800メートル。